税務関係

【不動産税金】不動産事業法人成り税務の基本はこれだけでOK!税理士がポイントを解説!

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・不動産事業の法人化を考えている

・できるだけ税金がかからないように法人化したい

・「権利金の認定課税」って何?

・「土地の無償返還に関する届出」について知りたい

今回は最近増えてきている不動産事業の法人化について解説します!

個人・法人両方の税法が関係するため複雑になりがちですが、正しく理解して税金をできるだけ安くしましょう!

不動産事業の法人化のメリットは?

①所得税の節税

個人で行ってきた不動産事業を法人化する場合、得られるメリットの一つに「所得税の節税」があります。

メリットを得られる理由は、「所得の分離」と「給与所得控除」の二つです。

1.所得の分離

日本の所得税率は「累進課税」といい、所得が高くなればなるほど税率が高くなる仕組みになっています。

引用元:国税庁「No.2260 所得税の税率

最高で45%と恐ろしい税率になっています。

そのため、法人化して不動産所得を個人の所得から切り離すことで個人の税金を減らせるメリットがあります。

2.給与所得控除

個人で不動産事業を行っている場合、不動産収入から必要経費を差し引いた残りが個人の所得になります。

しかし、不動産事業を法人化して自身に役員報酬を出すようにすると、「給与所得控除」分だけ節税になります。

具体的な例を使って説明します。

【例】不動産収入500万円、必要経費350万円の場合

個人の不動産所得=不動産収入500万円-必要経費350万円=150万円

上記の例のまま法人化し、役員報酬を年額150万円出した場合

個人の不動産所得は法人に移管しているためゼロ

個人の給与所得=給与収入150万円ー給与所得控除55万円=95万円

このように、個人の手元に残るお金は150万円で変わらないにも関わらず、法人化して役員報酬として支給するだけで所得が下がっています。

社会保険料や法人税なども総合的に考えないといけませんが、それでも十分な節税効果が期待できます。

②相続税の節税

法人化して不動産を法人に移管した場合、その時点で個人の財産ではなくなります

また、法人の株式をすべて自身の相続人に保有させることで、不動産に関する財産は一切自身に帰属しなくなります。

このように、法人化して財産を移して株式も自身が保有しなければ、自身が亡くなった際に課せられる相続税を抑えることができます。

不動産の相続税評価額は大きくなりがちですので、生前に法人化して移管することで相続財産の削減という効果もあります。

不動産事業の法人化のデメリットは?

①社会保険の加入義務の発生

不動産の法人化には当然デメリットもあります。

その一つに「社会保険の加入義務の発生」があります。

法人を設立した場合、たとえ社長一人しかいない会社であっても原則社会保険の加入義務が発生します。

また2か所以上から収入がある場合はすべての収入を合算して社会保険料が計算されますので、役員報酬を出している場合は社会保険料が高額になる可能性も出てきます。

②赤字でも税金を納める必要がある

個人で不動産事業を行っていて赤字になった場合、税金は発生しません。

一方で、法人税については「均等割」という法人が存在するだけで課せられる税金があります。

これは赤字だろうが何だろうが法人が存在する限り課せられてしまいます

金額的には数万~数十万円になりますが、個人であれば納めなくてもいいものが発生しますのでデメリットになります。

法人化の目安となる所得はどれくらいなの?

一つの目安は「所得600万円」

よく相談される事項に「所得がどれくらいになったら法人すべきなのか?」というものがあります。

これについては個人ごとに状況が異なるため一概に何円!と示すことはできません。

しかし、所得税率と法人税率の違いから一定程度の目安を示すことは可能です。

それが「所得600万円」という数字になります。

不動産所得と他の所得を合わせて所得が600万円を超えるようになってきた場合は法人化を検討してもいいかもしれません。

私が法人化をお手伝いする場合は必ず事前にシミュレーションを行い、法人化した際の効果を測定するようにしています。

個人→法人への資産移管方法

何となく移管はダメ!正式に移管の手続きを踏む!

「個人でやっていた事業を法人化しただけだし、そのまま決算書上で数字を動かせばいいでしょ」

そう思われるのもよくわかりますが、個人と法人では人格が異なりますので、法人を設立した際には正式に手続きを踏んで資産を移管しないといけません。

具体的には以下のような手続きを取ることが考えられます。

  • 現物出資
  • 売買
  • 贈与
  • 賃貸借

いずれの方法も個人・法人で多額の税金発生の可能性…

不動産事業の原資になっている財産は土地や建物といった金額がかなり大きい資産です。

そのため、そのまま上記の移管手続を取った場合、個人・法人どちらかまたは両方で高額な税金が発生する可能性があります。

「お金のやり取りがなければ大丈夫っしょ!」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、税務上はお金のやり取りは関係ありません

登記などの手続きをする関係で不動産の移管状況は税務署にも情報が行ってしまいますので、ごまかすことはできません。

不動産移管の方法は結局何がいいのか?

「建物簿価売却」+「土地の無償返還に関す届出」という方法

せっかく節税のために法人化するのに、資産の移管の時点で多額の税金が発生してしまっては元も子もありません。

できるだけ税金を発生させない方法はないのでしょうか?

そこで出てくる方法として有名なものが「建物簿価売却」と「土地の無償返還に関する届出」を組み合わせた方法です。

建物は簿価で個人から法人へ譲渡

個人が所有している建物を法人が個人が確定申告書上で計上している簿価で買い取る方法です。

この場合、個人の側では売却価格-簿価=0円になるため、譲渡所得が発生しません

譲渡の際は「時価」を使うことが一般的ですが、建物については時価≒簿価であることが多いため、売却価格に帳簿価格を採用してもOKです。

土地は個人所有のままとして「土地の無償返還に関する届出」を提出

建物は法人へ移管しますが、土地については個人所有のままにします。

これは、土地を法人に売却すると個人に譲渡所得が発生することとなり、その金額は通常高額になってしまうためです。

そこで、土地は個人のままとしておき、法人が土地を使えるように設定します。

この設定で最大のポイントになるものが「土地の無償返還に関する届出」です。

続いてはこの届出について解説します。

土地の無償返還に関する届出とは?

「権利金の認定課税」を避けるために必要な手続き!

「土地の無償返還に関する届出」とは、権利金の認定課税を避けるための手続きです。

こんな届出を税務署に出します。

引用元:国税庁「[手続名]土地の無償返還に関する届出

この届出の内容は非常に専門的なため、今回は重要なポイントだけ解説します。

実際に利用する場合は税理士に相談して手続きすることをオススメします。

権利金の認定課税とは?

土地と建物の所有者が異なる場合、建物の所有者は土地を使わせてもらっている、という立場になります。

この場合、建物の所有者には「借地権」という権利が発生することになります。

この権利を取得するためには通常、地価の7割という高額なお金が必要になってしまいます。

「法人の代表取締役と土地の所有者が同じだからそんなお金はいらないよ」

こういった考え方は同族会社ではよくあると思います。

しかし、税務署はそんなことは認めてくれません。

「同族会社ではなかったら多額の権利金を支払っているはずだよね?」

このように認定されてしまい、もらってもいない多額の権利金をもらったものとして課税される、それが権利金の認定課税です。

認定課税を回避するための条件

とはいえ、法人の代表取締役と土地の所有者が同一人物の場合にまで形式的に取引慣行を当てはめるということは不都合がありますよね。

そのため、一定の条件を満たす場合はこの権利金の認定課税をしませんよ、ということになっています。

その条件は以下の通りです。

  1. 当事者のうち少なくとも片方は法人
  2. 税務署に届出を期限までに提出する
  3. 契約書に「無償返還すること」を明記する
  4. (必須ではないですが)地代を取る

それぞれ解説していきます!

1.当事者のうち少なくとも片方は法人

この認定課税回避のための制度は個人間の取引では使えません

少なくとも貸主・借主いずれかが法人である必要があります。

不動産事業の法人化の場合は貸主が個人で借主が法人ですので条件を満たします。

2.税務署に届出を期限までに提出する

所轄税務署に「土地の無償返還に関する届出」を期限までに提出する必要があります。

なお、届出の期限は「土地を無償で返還することが定められた後遅滞なく」となっています。

遅滞なく…とは??

困ったことにいつまでと明記されていませんので、いつまでに出さなかったらアウトなのかは明確ではありません。

法人成りの場合は設定の事実が明らかですので、覚えているうちにすぐに提出した方がいいでしょう。

3.契約書に「無償返還すること」を明記する

この条件は国税庁の無償返還に関する届け出の概要説明の中で言及があります。

法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合で、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められている場合に、これを届け出る手続です。
この届出を行っている場合には、権利金の認定課税は行われないこととなります。
なお、この届出者は、土地所有者が個人である場合であっても、提出することができます。

引用元:国税庁「[手続名]土地の無償返還に関する届出

「その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められている場合」とばっちり記載されています。

この「土地の無償返還に関する届出」を出す際は契約書の写しを添付することになっていますので、忘れずに契約書に明記しましょう。

4.地代を取る

まず、権利金の認定課税を避けるためだけであれば地代を取る必要はありません

地代0円で使用貸借にしていたとしても、権利金の認定課税はされません。

ではなぜ地代を取った方がいいのか?それは土地を貸している個人の相続税への影響からです。

土地を貸している個人が法人から地代をもらっていた場合、その土地は貸宅地として20%の評価減が可能です。

さらに、貸付事業用の宅地に該当することとなり50%の評価減も可能になります。

地代をもらっていないとこの評価減を受けることができないため、長い目で相続まで考慮すると地代はもらっておいた方がいいことになります。

なお、地代も1円などいくらでもいいということはなく、通常は固定資産税の2~3倍程度を取っておく必要があります。

まとめ

  • 法人化のメリットは「所得の分離」「給与所得控除」
  • 法人化のデメリットは「社会保険加入義務」「赤字でも納税」
  • 法人化の目安は「所得600万円」
  • 「建物簿価売却」+「土地の無償返還に関する届出」がおすすめ

税金はただでさえ複雑ですが、法人化になると個人と法人両方の税金について検討する必要があります。

しかし、複雑ではありますがひとつひとつ整理して適用すると税金を安く抑える道が見えてきます。

専門家の力も借りながら自身にとって一番望ましい選択をしていく必要がありますね。

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hiroya

公認会計士・税理士・行政書士。慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツへ入社。その後、2017年独立・開業。「公認会計士・税理士をより身近に」をコンセプトに情報発信を行い、SNSを通じて多くの相談に応じている。

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