この記事は以下のようなポイントを知りたい人におススメです!
・インボイス導入後のX(旧twitter)などの海外IT企業の取扱いはどうなるの?
・インボイスの経過措置は適用されるの?
2023年10月1日から開始するインボイス制度。
今回はインボイス制度開始後に注意が必要な海外IT企業の取扱いを説明します。
まずは結論
企業名 | ~2023年9月30日 | 2023年10月1日~ |
X(旧Twitter)(※) | 不課税 | 不課税(経過措置不可) |
Facebook(※) | 不課税 | 不課税(経過措置不可) |
課税仕入 | 課税仕入 | |
ZOOM | 課税仕入 | 課税仕入 |
※インボイス導入前後ともにリバースチャージに該当する場合を除く
2023年9月30日までの取扱い
「登録国外事業者」に該当するか否かで判断する
2023年9月30日までは海外IT企業からインターネットを経由してサービスの提供(電気通信利用役務といいいます)を受けた場合、
原則として仕入税額控除ができません。
ただし、海外IT企業が「登録国外事業者」に登録している場合は例外的に仕入税額控除ができます。
※リバースチャージに該当する場合は除きます。
「登録国外事業者」とは?
ざっくり言うと、日本において消費税を申告納税する海外企業、です。
詳細な説明は割愛しますが、平成27年度の改正で国境を越えた電気通信利用役務の提供について取り扱いが変わりました。
その結果、海外の企業が日本で消費税の申告・納税をする必要が出てきました。
その申告・納税をするために国外事業者として国税庁に登録申請することとなりました。
登録国外事業者は国税庁のHPで確認できます。
海外IT企業の登録状況は?
登録国外事業者名簿(令和5年8月23日現在)には以下の通りGoogleやZOOMなどよく目にする企業の名前が載っています。
一方で、X(旧Twitter)やFacebookなど同じく海外IT企業であるにもかかわらず登録されていない企業もあります。
これらの企業に対して広告料などの支払いをしても仕入税額控除ができません。
実際に請求書を見てみると…
登録国外事業者であるZOOMの請求書を見てみると、以下のように消費税(Consumption Tax)の記載があります。
一方で、登録国外事業者でないX(旧Twitter)の請求書を見ると消費税の記載がありません。
2023年10月1日からの取扱い
登録国外事業者は廃止されインボイスに一本化
2023年10月1日からインボイス制度が開始することに伴い、登録国外事業者制度は廃止となります。
これは適格請求書発行事業者になれるのが日本において課税事業者である必要があるため、
日本国内で申告・納税するために登録申請するという登録国外事業者と制度的に重複するためです。
つまり、適格請求書発行事業者として適格請求書登録番号があれば国内企業であろうが国外企業であろうが仕入税額控除ができます。
なお、登録国外事業者である事業者は自動的に適格請求書発行事業者に移行します。
【2023年9月19日追記】
2023年9月1日現在の登録国外事業者名簿が公表されました。
この名簿で登録状況が「有効(Valid)」となっている事業者がインボイス制度開始と同時に適格請求書発行事業者に移行します。
8割等控除の適用は可能なのか?
インボイス開始後、適格請求書発行事業者以外の事業者からの課税仕入れについては6年間は一定割合を控除できる経過措置があります。
そのため、6年間は適格請求書発行事業者でない国外事業者からの仕入れについて一定額を仕入税額控除ができるようにも考えられます。
しかし、残念ながら消費者向けの電気通信利用役務の提供は経過措置の対象外になっています。
インボイス開始後、適格請求書登録番号の記載がない海外IT企業への支払いは引き続き不課税取引となります。
まとめ
インボイス開始後は、登録国外事業者制度廃止
インボイスがあるか否か仕入税額控除できるか否かを判断
電気通信利用役務の提供は経過措置の対象外
いよいよ始まるインボイス。
細かい取扱いが複数あるため一つ一つ整理して進めていきましょう。