あまりなじみのない「道路占用料」という科目。
突然出てくるとその扱いに頭を悩ませることがあります。
今回は「道路占用料」について解説します。
こんな方におすすめ
- 道路占用料の概要を知りたい
- 道路占用料の消費税の取り扱いを知りたい
- 道路占用料のインボイス対応を知りたい
そもそも道路占用料とは?
国や地方公共団体が有する道路や河川敷地を使用する場合に支払う料金
露店を出したり、催し物に使ったりと道路を一定期間使う場合があります。
勝手に使うのは違反ですが、しっかりと使用許可を得て実施することはできます。
その際に、国や地方公共団体から「道路を使わせてあげるから使用料払ってね」と言われて請求されるものが「道路占用料」です。
自治体によって「土木使用料」や「道路使用料」と名称が少し違うこともありますが、中身は同じです。
勘定科目は「地代家賃」または「雑費」
道路占用料は後述するように土地を借りているという実態がありますので、基本的には「地代家賃」で処理することとなります。
しかし、その金額が少額である場合は「雑費」で処理しても問題ないと考えられます。
道路占用料の消費税は課税?非課税?
占用期間がポイント!1か月未満or1か月以上かで判断!
結論としては以下のようになります。
道路占用料の消費税
- 占用期間が1か月未満:消費税課税
- 占用期間が1か月以上:消費税非課税
以下で理由について解説します。
考え方は土地の貸付けと同じ!
道路占用料については国税庁より以下のように法令解釈通達が出ています。
(公有水面使用料、道路占用料、河川占用料)
6-1-7 国又は地方公共団体等がその有する海浜地、道路又は河川敷地(地上及び地下を含む。)の使用許可に基づき収受する公有水面使用料、道路占用料又は河川占用料は、いずれも土地の貸付けに係る対価に該当するものとして取り扱う
この中で「土地の貸付けに係る対価に該当」とばっちり記載されていますので、取り扱いは土地の貸付けと同じになります。
ここで、土地の貸付けに関する消費税の取り扱いは消費税法6条と消費税法施行令8条で定められています。
(非課税)
第六条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。
(中略)
別表第一
一 土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
引用元:消費税法
(土地の貸付けから除外される場合)
第八条 法別表第一第一号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合とする。
引用元:消費税法施行令
このように、土地の貸付けは基本的に消費税は非課税、ただし貸付け期間が1か月未満の場合は課税ということになっています。
道路占用料についても同じ基準で判断しますので、占用する期間が1か月未満なのか以上なのかがポイントになります。
道路占用料のインボイス対応は?
支払先の自治体の登録状況による
2023年10月1日から始まるインボイス制度。
1か月未満の道路占用料については前述の通り課税取引ですがインボイス制度開始後はインボイスがなければ仕入税額控除に入れられなくなります。
道路占用料の支払先は市区町村などの地方公共団体ですので、地方公共団体のインボイス登録状況によって仕入税額控除の可否が分かれます。
この点、総務省から「消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)への 対応に係る留意事項等について(依頼)」が発出されています。
この依頼では地方公共団体にインボイス登録を促す内容になっております。
公的機関である地方公共団体がインボイスを交付しないことにより売上先の課税事業者に負担を強いるのは適切ではないためです。
インボイスは複数の書類で記載事項を満たすことも可能であるため、納入書単体ではなく契約書とセットで記載事項を満たすという対応も想定されます。
1か月未満の道路占用料については会計処理時によく証憑を確認する必要があります。
まとめ
- 道路占用料は道路を利用する際の対価
- 占用期間が1か月未満か以上かで消費税の扱いが異なる
なじみがない科目が出てくると取扱いに困ってしまいますが、中身を見てみると意外となじみのある科目と同じ扱いということも多くあります。
ひとつひとつ整理して会計処理するようにしましょう。