・最近評価方法が変わったって本当?
今回は令和3年6月に改正された電話加入権の評価方法に関する通知をご紹介します!
電話加入権とは?
固定電話新規契約時に支払う負担金!
電話加入権の正式名称は「施設設置負担金」といいます。
電話の新規架設工事費の一部に充てるという名目で39,600円(税込)をNTT東日本・西日本へ支払うことになります。
これは戦後間もないころに日本全国に電話網を拡大させるための工事費に充てるために創設された負担金になります。
現在はほとんど価値なし…
戦後間もないころや携帯が普及する前は固定電話は非常に重要なものであり、負担金を支払ってでも電話線を引く意味がありました。
しかし、スマートフォンやインターネット回線を利用した電話の普及により、電話線を利用した固定電話の存在価値が相対的に下がっています。
そのため、現在電話加入権の価値はほとんどないとまで言われるようになっています。
事実、国税庁が公表する「財産評価基準書」で電話加入権の評価額は「1,500円(全国一律)」とされています。
相続税における評価~令和2年12月31日以前の場合~
財産評価基準書に基づき評価
今回の通知改正前は電話加入権は以下のように評価するようにされておりました。
- 取引相場のある電話加入権の価額は課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価
- ①以外の場合は売買実例価額等を基として、電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額によって評価
しかし、昨今の携帯電話の普及などにより電話加入権の取引相場は最近はありませんでした。
そのため、実務では国税庁の公表している財産評価基準書に基づき、1500円と評価していました。
相続税における評価~令和3年1月1日以後の場合~
家庭用動産等に含めて評価OKに
今回の改正で電話加入権の評価は以下のように行うようになりました。
電話加入権の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。
引用元:国税庁「法令解釈通達 第7節電話加入権」
非常に曖昧な書き方ですが、その後公開された「「財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらましについて(情報)」において、以下のように追加されました。
相続税等の申告に当たっては、評価通達 128((評価単位))の定めに基づき一括して評価する家庭用動産等に、電話加入権を含めることとして差し支えない。
引用元:国税庁「「財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらましについて(情報)」
時価が5万円以下の場合は家財一式として一括評価しますが、そこに含めてもよいということになります。
もともと1500円なので税額にあまり大きな影響はありませんが…。
まとめ
- 電話加入権の評価方法が令和3年1月1日以後相続から変更
- 家庭用動産等に含めて評価OK
もともと額も小さく税額に影響をほとんど与えない電話加入権ですが、今後の相続税申告の際は注意しましょう。