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【徹底比較】クラウド会計3社のOCR読取機能を税理士が比べてみた!

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・OCR読取機能を使って経理を楽にしたい!

・どれくらいの精度で読み取れるのか気になる!

・クラウド会計によって精度に違いがあるのか気になる!

今回は「freee」「MFクラウド」「弥生」のクラウド会計3社のOCR読取機能を比べてみました!

クラウド会計導入の参考にしていただければと思います。

そもそも「OCR」とは?

画像データから文字データに変換する技術のこと!

OCRはOptical Optical Character Optical Character Recognitionの略で光学的文字認識のことをいいます。

スキャナーやスマホで撮った写真などのデータを文字コードに変換する技術のことをいいます。

このOCRという技術はクラウド会計と非常に親和性が高いです。

クラウド会計に搭載されているOCR読取機能

スキャンしたデータから仕訳を自動作成!

画像から文字データを取ってくるということで、頭のいい先人が思いついたんですね。

レシートから情報取ってこれたら楽じゃない?

天才です。

経理の作業で非常に煩わしい作業の一つにレシートから金額や日付を会計ソフトに転記するという作業があります。

この煩わしい作業を一掃すると期待されているものがこのOCR機能です。

レシートをスキャン→会計ソフトに取り込み→仕訳を自動作成

この流れが完成することで、仕訳作成の手間を省くことができます。

課題はOCRの読取精度…

このOCRを使った仕訳作成への取り組みは何年か前から始まっています。

しかし、中々本格導入に至らないのは、OCRの読取精度が低かったためです。

ちょっと影があると読み取れない、ちょっとしわがあると読み取れな…だったら手で入れた方が早い…という状況でした。

しかし、ここにきてOCRの読取精度が大幅に向上してきました。

実際に私がOCRの読取機能を使ってみていても、一昔前より格段に精度が上がってきている印象です。

【疑問】結局どこが一番読み取ってくれるのか?

使うからには一番読取精度がいいところがいい!当然そう思いますよね。

今回は実際に「freee」「MFクラウド」「弥生」のクラウド会計3社のOCR読取機能にスキャンデータを取り込んで比較してみました!

なお、あくまで比較時点(2021年3月11日)での結果ですので、その後のアップデートで読取精度がさらに向上している可能性がありますので悪しからず。

【事前準備】スキャンデータを用意する

OCR機能利用時の必需品「ScanSnap iX1500」

OCR読取機能を比較するためには、レシートを画像データにする必要があります。

一枚一枚スマホで撮って画像化してもいいですが、時間がかかって手間ですよね。

そんな時に役立つのが「ScanSnap iX1500」というスキャナーです。

このスキャナーの特徴は「早い」「きれい」「正確」です。

複数枚のレシートを一括で短時間で読み取ることができるので、非常に便利です。

OCRの読取機能を使う場合は必須のアイテムですね。


スキャンデータはPDF形式で保存される

ScanSnapでスキャンしたレシートは指定した場所にPDFとして保存されます。

このPDFをクラウド会計のOCR読取機能に入れていくことになります。

各クラウド会計のOCR読取機能

①freee 「ファイルボックス」

freeeのOCR読取機能は「ファイルボックス」というものになります。

ここにPDFを入れることで読み取ってくれます。

②MFクラウド 「MFクラウド経費」

MFクラウド会計自体にはOCR読取機能がありません。

関連システムの「MFクラウド経費」で読み取ることになります。

ここにPDFを入れることで読み取ってくれます。

③弥生会計 「スマート取引取込」

弥生会計のOCR読取機能は「スマート取引取込」になります。

ここにPDFを入れることで読み取ってくれます。

3社のOCR読取機能を徹底比較!

Round1:普通のレシート1枚

まずはこのレシート1枚を読み取ってみます。ダイソーで消耗品を購入したシンプルなレシートです。

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 摘要
freee 2021/1/26 消耗品費 220 取得できず
MFクラウド 2021/1/26 取得できず 220 取得できず
弥生 2021/1/26 取得できず 220 取得できず

弥生はスキャンデータの確認→科目登録と別画面で行いますが、摘要から科目を推測するようで、摘要が読み取れないと勘定科目も入らないようです。

上記のままスキャンデータを確定すると勘定科目は「現金」になってしまい、勘定科目の推測はできていませんでした。

MFクラウドも勘定科目が読み取れないと初期値の「電車代」になってしまいます。

勘定科目についてはfreee以外は正しく読み取れていません。

ただし、日付や金額は3社ともきれいに取ってきています

Round2:縦に長いレシート1枚

次のレシートはこちら。クレジット決済してポイントを付けてと、レシートに無駄な情報が多いため縦に長くなっています。

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 摘要
freee 2021/2/26 消耗品費 599 取得できず
MFクラウド 取得できず 取得できず 599 取得できず
弥生 取得できず 取得できず 取得できず 取得できず

早速差が出てきました。

同じPDFファイルをアップロードしても読取ができるfreeeと読取ができないMFクラウド・弥生という結果になりました。

MFクラウドと弥生は長いレシートが苦手なようです。

Round3:非定型の領収証

次のレシートはこちら。税務研究会で書籍を購入したものです。

レシートとは形式や数字・日付の表示方法が異なりますがどうでしょうか?

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 摘要
freee 2021/1/26 仕入高 3,316 取得できず
MFクラウド 取得できず 取得できず 取得できず 取得できず
弥生 取得できず 取得できず 取得できず 取得できず

科目は違いますが、freeeの安定感が光ります。

MFクラウド・弥生は読み取ることができていませんでした。

Round4:軽減税率のレシート

続いては軽減税率のレシートです。

8%は認識できるでしょうか?

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 軽減税率
freee 2021/3/10 取得できず 240 取得NG
MFクラウド 2021/3/10 取得できず 240 取得NG
弥生 2021/3/10 取得できず 240 取得OK

弥生はしっかり軽減税率を取得しました。

画像から軽減税率を判定してくれるのは大きいですね。

freee・MFクラウドについてはそもそもOCRで軽減税率を読み取ることをしていないようです。

手動で行追加するようにfreeeとMFクラウドともにヘルプページにてアナウンスされています。

Round5:軽減税率・標準税率の混在レシート

続いては8%と10%が混在しているレシートです。

OCRで区別して取得できるでしょうか?

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 税率の区分
freee 2021/1/30 消耗品費 1,170 区分NG
MFクラウド 2021/1/30 取得できず 1,170 区分NG
弥生 2021/1/30 取得できず 690/480 区分OK

弥生は軽減税率の区分取得はかなり精度が高いです。

混在していてもきっちり分けて認識するので非常に助かります。

Round6:手書き領収証

続いては手書きの領収証。手書きはどれくらい読み取れるのでしょうか?

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 摘要
freee 2021/3/11 取得できず 780 取得できず
MFクラウド 取得できず 取得できず 取得できず 取得できず
弥生 取得できず 取得できず 取得できず 取得できず

やはり手書きの領収証はまだまだスキャンして取り込むだけでは難しいようです。

AIを使った「AI-OCR」であったり、文字起こしサービスを使わないとまだ読取は出来なさそうです。

Round7:レシートに不必要な陰影がある

続いてはもう少しでレシートが切れますよという赤い陰影があるものです。

これはOCRの読取に影響があるのでしょうか?

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 摘要
freee 2021/2/26 消耗品費 240 取得できず
MFクラウド 2021/2/26 取得できず 27 取得できず
弥生 2021/2/26 取得できず 240 取得できず

MFクラウドは金額がうまく取れていませんでした。。。

とはいえ、おおむね赤い陰影については影響がなさそうです。

Round8:シワシワのレシート

続いてはシワシワのレシートを読み取ってみます。

【freee】

【MFクラウド】

【弥生】

【結果】

ソフト名 日付 勘定科目 金額 摘要
freee 2021/3/11 消耗品費 880 取得できず
MFクラウド 2021/3/11 取得できず 880 取得できず
弥生 2021/3/11 取得できず 880 取得できず

何故か弥生で軽減税率判定されている…。

シワについては読取にはあまり影響なさそうですが、やはりきれいなものに比べると読取精度は落ちますね。

Round9:解析速度比較!レシート20枚の解析時間は?

PDFファイルを一気に20枚アップロードして解析にかかる時間を比較してみたいと思います。

早ければいいわけではないので正しく解析された割合も検討します。

日付と金額が正しければ正解としてカウントします。

ソフト名 所要時間 正答率
freee 約20秒 18/20
MFクラウド 約30秒 13/20
弥生 約40秒 15/20

freeeは早くて正確ですが、MFクラウド・弥生は時間がかかる割に正答率が高くありませんね。

総評:全体としてfreeeの圧勝!

それぞれの個性が出る結果に

検証の過程で全体的に安定して検出できていたfreeeの圧勝といっていいと思います。

freeeは会計初心者でも使いやすい、ということを売りにしていますのでスキャンして自動仕訳というのはそのビジョンにマッチするので力を入れているのでしょうか。

軽減税率については弥生のみがレシートから適切に区分して識別できていましたのでこの点は弥生に軍配が上がっているかと。

会計ソフトの老舗ですので、会計面で必要な事項についてはしっかり識別するということでしょうか。

MFクラウドはオペレーターを使った領収証読取サービスである「STREAMED」に力を入れているからでしょうか、全体として精度が低かったです。

習熟した人だけが出来ても意味がない

今回は何も考えずにスキャンしてアップロードしただけなので、もう少し工夫して読み取らせれば精度は上がるかもしれません。

しかし、習熟した人でないと使えないシステムでは意味がありません。

会計になれていない人がぱっとやって正しい結果が出るということが必要なのだと思います。

まとめ

  • OCRとは画像データから文字データに変換する技術
  • 会計ソフトとの親和性が高い
  • OCR読取技術ではfreeeが現時点では精度が高い
  • 軽減税率については弥生が強い

実際比べてみると同じクラウド会計というくくりであってもそれぞれの個性が反映されている印象があります。

経理業務を効率化して本業に集中できる環境を構築しましょう!

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hiroya

公認会計士・税理士・行政書士。慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツへ入社。その後、2017年独立・開業。「公認会計士・税理士をより身近に」をコンセプトに情報発信を行い、SNSを通じて多くの相談に応じている。

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