税務関係

【確定申告】スーツ代は?スマホ代は?個人事業主の経費について税理士が解説!

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「確定申告で出来るだけ税金を安くしたい」

「身近なところで経費になるものはないか?」

こんな疑問を持っている人は多いのではないでしょうか?

今回は「こんなもの経費にできるのかな?」という身近な例を取り上げて解説していきます。

個人事業主ではない方は「給与所得者の特定支出控除」についての記事をご覧ください!

こんな方におすすめ

  • 確定申告で経費にできるものを知りたい
  • 確定申告で何とか経費を増やしたい
  • 「家事按分」について知りたい

個人事業主の経費とは?

事業に関連するか否かが判断のポイント!

個人事業主の所得は収入から経費を差し引いて計算します。そのため、経費が多ければ多いほど所得は少なくなり、税金は安くなります

つまり、経費をいかに多く計上するかが税額の多寡に影響してくるわけです。

だからと言ってすべての支払いが個人事業主の経費になるわけではありません。あくまでも「事業に関連する」支出が経費になります。

事業で使う文房具やコピー用紙、顧客先への移動費用などは明確に事業に関連することがわかります。

一方で判断に迷うのが自宅で仕事をしている場合の「家賃」や「光熱水費」です。

プライベートでも事業でも使っている場合は「家事按分」!

新型コロナウィルスの感染拡大などもあり、家で仕事をすることが増えた個人事業主も多いと思います。

そんな時気になるのは「家の家賃とか電気代なんかは経費になるのか?」というものです。

結論から申し上げると「一部なる」ということになります。

個人事業主はプライベートと事業を明確に区別することが難しい存在です。

「今事業用で家使ってる!!」なんて意識しませんよね。しかし、事実として事業活動を自宅で行うことはある。

そういったときに使う考え方が「家事按分」です。これは、合理的な基準に基づいて、家賃や光熱水費などを事業用とプライベート用に按分するものです。

とはいえ、ストップウォッチを使って事業用の時間とプライベートの時間を測っているわけではありませんので、例えば事業用は一日8時間だから家賃は1:2で按分しよう、というように時間などを合理的に見積もって按分することになります。

「合理的」ということは明確な水準は示されていませんので主観的な判断にならざるを得ません。あまり事業用を増やしすぎると税務署ににらまれる可能性が高まることになるので注意が必要です。

こんなものは経費になるの?

①スーツ代

個人事業主の確定申告を拝見してかなり多くのケースで経費として処理されているものが「スーツ代」です。

「事業で使っている」「得意先に行くときに着ている」と事業で使っていることは確かです。

しかし、結論としては「スーツ代はほぼ経費にならない」です。実は過去に裁判で争われているんです。

今回はその判決文から一部引用します。

(1) 被服費、クリーニング代、散髪代について
思うに、被服はひとり給与所得者に限らず、誰もが必要とし、その種類、品質、数量等は個人の趣味嗜好によつてかなりの差異があり、耐用年数についてもかなりの個人差が存するものであるから、被服費は、一般的には、個人的な家事消費たる家事費に属すると解するのが相当である。

引用元:京都地方裁判所 昭和41(行ウ)10 所得税決定処分取消請求事件

この判決の中では、スーツなど洋服に関する支出は家事費、つまりプライベートの支出に属するもの、とされています。

スーツは仕事だけで着るものではなく、プライベートでも着る可能性があるためこういった判断になっています。そのことがわかるのがこの判決文の続きです。

しかし、例えば、警察職員における制服のように、使用者から着用を命ぜられ、かつ、職務遂行上以外では着用できないようなものについては、その被服費の支出は、勤務のために必要なものとして、給与所得の必要経費を構成するものと解すべきである

引用元:京都地方裁判所 昭和41(行ウ)10 所得税決定処分取消請求事件

制服のようにどう考えても仕事上でしか着ないものであればOK、ということになります。そのため、個人事業主で制服を作って従業員含め全員が同じものを着ているといった場合は当該洋服を購入した費用は経費になります。

また、スーツに関しても絶対に経費にならないわけではないことが当該判決の更なる続きの文言からわかります。

かような特殊な職業に従事する者ではないその他の一般の給与所得者についても、専ら、または、主に家庭において着用するのではなく、これを除き、その地位、職種に応じ、勤務(ないし職務)上一定の種類、品質、数量以上の被服を必要とする場合には、その被服費の支出は勤務についても関連するものとして、家事費ではなく、家事関連費であると解するのが相当である。原告の主張も、その背広等の支出が家事関連費に一応属することを前提にしているものと解することができる。しかして、原告の主張する背広等の被服費の支出も、勤務上必要とした部分を、他の部分と明りように区分することができるときは、当該部分の支出は必要経費になると認める余地がある。

引用元:京都地方裁判所 昭和41(行ウ)10 所得税決定処分取消請求事件

業務に必要な部分を明確に区分できるのであれば経費にならないこともない、という内容になっています。

とはいえ、スーツについて業務に使っている部分のみを明確にするということは容易ではありません。制服に準じた取り扱いをしている場合など、かなり限られた場合のみ認められると考えた方がいいと思います。

②スマホ代

生活の必需品になったスマートフォン。その利便性から事業でも使っている方は多いと思います。

スマホ代は総理大臣が文句をつけるくらい高いので、経費にできると税金の計算上有利になります。

結論としては「スマホ代は経費になる」です。ただし、プライベートと併用している場合は注意が必要です。

ここでも前述の「家事按分」が登場します。事業で使っている部分を合理的な水準で按分して事業用の部分のみが経費になります。

通話時間など個別具体的な数字での按分は難しいので、ある程度割り切って水準を設ける必要があります。

ほとんど事業用であれば90%、半々くらいであれば50%。プライベートが多いということであれば25%、というように大まかな割合での設定でも問題ありません。

機種代の取り扱いは?

iPhoneなど一部ブランドの機種は非常に高額で、本体代だけで10万を超えてしまうものもあります。

このように本体代が10万円を超えた場合、原則通り行うとスマートフォンの本体部分は固定資産計上することになります。

その上で、青色申告を選択している場合は一括償却資産少額減価償却資産の特例を使って1年ないし3年で経費にすることになります。

ただし、スマートフォンの本体代は通信費と一緒に月々の支払いと合わせて分割払いになっているケースが多いと思います。

このような場合、個人的な意見ではありますが月々の通信費支払い時に都度経費にするという方法でも構わないと思います。

結局のところ24か月での分割が多いため耐用年数2年で減価償却しているのと同じですし。

まとめ

  • 個人事業主の経費は「事業に関連するもの」
  • プライベートと兼用の場合は「家事按分」
  • スーツ代は経費にするのはかなり難しい
  • スマホ代はプライベートとの兼用状況がポイント

個人事業主はプライベートとの区別も難しく、税金も気になるのでどうしても経費を多く計上したくなります。

しかし、税務署はその点を見逃してはくれません。合理的な基準なしでの経費算入は指摘を受けてしまいます。

経費にする前に今一度経費にできるのか、できるとしたらどこまでできるのか、整理する必要があります。

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hiroya

公認会計士・税理士・行政書士。慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツへ入社。その後、2017年独立・開業。「公認会計士・税理士をより身近に」をコンセプトに情報発信を行い、SNSを通じて多くの相談に応じている。

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