税務関係

【相続税】その預金、名義預金ではありませんか?税理士がポイントを解説!

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平成27年より相続税の基礎控除が大幅に下がり、従来は相続税がかからなかった層にも相続税が課税されるようになってきました。

そのため、生前からあの手この手で相続税がかからないように対策をされる方も増えてきました。

今回はその相続対策の中から「名義預金」について解説します。

せっかく次の世代のために対策したのに無意味になってしまった!そんなことが起きかねませんので是非参考にして整理してみてください。

こんな方におすすめ

  • 相続対策でお金を動かしたいと思っている
  • 名義預金にならないためのポイントを知りたい
  • 生前贈与の注意点を知りたい

そもそも名義預金とは?

口座の名義は相続人、しかし実態は被相続人の口座と認定されてしまう預金!

亡くなる前に相続人名義の預金口座を作っておき、少しずつお金を移していた事実があるが、相続税の申告の際に名義が相続人だからと相続財産に含めなかった。

しかし後日税務調査で「これは名義預金なので相続財産に入れてください」と指摘されてしまった…こんなことが実際に起きています。

相続財産に含める預金は単純に被相続人名義の口座だけでなく、実態として被相続人に属する口座を含める必要があります。

上記の例ですと、お金を相続人名義の口座に移していたのは事実ですが、後述する名義預金にならないためのポイントを満たしていなかったために、相続財産に加算されてしまいました。

名義預金の多くは被相続人が次の世代のことを思って行っており、意図して財産を隠そうとしているものではないケースです。

しかし、税務署は被相続人の気持ちではなく客観的な事実をもって判断してきますので、正しく準備することが必要です。

名義預金にならないためのポイントは?

①口座の管理は相続人が行っていること

名義預金にならないためのポイントとして一番重要なのは「誰が口座を管理しているのか?」という点です。

名義預金は「被相続人」が口座を管理していると判断されてしまったケースになります。

そのため、名義預金にならないようにするには「相続人」が口座を管理する必要があります。

具体的には、銀行届出印や通帳などの管理は相続人が行い、また口座からの入出金は相続人が自由にできる状況である必要があります。

被相続人が相続人名義の口座を作り、こっそりお金を動かしており、相続人は口座の存在すら知らない、そういった場合は被相続人の口座間での資金移動でしかないと見なされます。

「誰が口座を管理しているのか?」、この点に注意して口座を整理する必要があります。

②贈与に基づいて入金されていること

名義預金の調査において税務署が目を付けるのは「入金しかない口座」です。

名義が相続人でまとまったお金が入金されているが、出金が一切ない口座は「名義預金では?」との疑いを持たれます。

ただし、その入金が贈与に基づく贈与による入金である場合は名義預金に該当しない場合がほとんどです。

贈与契約は贈与する側が「贈与します」と意思表示し、贈与を受ける側が「贈与を受けます」という意思表示をすることによってはじめて成立します。

そのため、これはこっそり行った資金移動ではなく、相続人に口座の存在を明らかにし、入金の意図も知らせての資金移動ですので、名義預金とみなされる可能性は低くなります。

生前贈与をする際のアドバイスで「基礎控除を上回る贈与を行って贈与税の申告をしておくとよい」というものがあります。

これはまさにこの「贈与による資金移動」を明らかにするものです。

贈与税の申告を期限までに税務署に提出することで、「○月○日の入金は贈与によるもので」ということを事前に示すことができるからです。

贈与契約書などは後付けで作成できてしまうため、税務署への説明資料としては確定日付が入っていれば別ですが、基本的に証明力が弱いです。

一方で生前贈与がなされたタイミングで適切に贈与税の申告をしていれば、入金が贈与であることを示す証明力の強い資料になります。

ぶっちゃけ、名義預金ってあまりバレないんじゃないの?

ほぼ100%バレます。口座情報は筒抜けです。

色々言うけど、こっそりやればバレないでしょ!と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、名義預金についてはほぼ100%バレます。これは、税務署は過去10年分の預金データを閲覧する権限があるからです。

そのため、被相続人が多額の出金をしているが他の口座に入金がない場合、「この出金はなんのためだろう?」という疑問を抱きます。

また、相続人側の口座についても「この年齢でこんなに残高が急に増えるのは何故だろう?」という疑問を抱く場合もあります。

疑問を抱けば税務調査を行い、調査の中で入出金の内容を確認されます。そこで単なる資金移動であると判定されれば名義預金であるとされてしまいます。

税務署は相続税のプロですので、一般人が考える抜け道はすべて熟知しています。

自分は大丈夫、バレないバレない、と思って名義預金を相続財産に含めないで申告してしまうと、後々必ずバレます。

過少申告加算税、または悪質と判断されると重加算税が課されてしまい、余計な税金を支払うことになってしまいます。

最初から正しく申告するようにしましょう。

まとめ

  • 名義預金は意図せず発生してしまうことが多い
  • ポイントは「口座をだれが管理しているか」「贈与に基づいて入金されているか」
  • 名義預金はほぼ100%バレる

相続は一生に何度も経験するものではありません。そのため、知識が不十分であったりあやふやであることがほとんどです。

よくわからないまま対策を講じてしまうと、自分が意図した結果にならなくなってしまうこともあります。

生前の対応は税理士など専門家に確認して慎重に行うようにしましょう。

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hiroya

公認会計士・税理士・行政書士。慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツへ入社。その後、2017年独立・開業。「公認会計士・税理士をより身近に」をコンセプトに情報発信を行い、SNSを通じて多くの相談に応じている。

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