新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。企業も業績が悪化し、雇用を継続することが困難になるケースも多く出てきています。
そういった雇止めを少しでもなくすために、政府は「雇用調整助成金」の活用を呼び掛けています。
学校法人においても活用している法人は一定数あるのではないでしょうか?
今回は学校法人における雇用調整助成金の会計処理について解説します。
こんな方におすすめ
- 学校法人会計で雇用調整助成金をどう処理すればいいか知りたい
- 学校法人会計で処理する上での注意点を知りたい
雇用調整「助成金」なのに補助金収入ではない!
補助金収入か否かは「財源」を確認!
雇用調整「助成金」という名前からして、すごく補助金っぽいですよね。
そのため学校法人会計の計算書類の区分で「補助金収入」に計上したくなります。
しかし、学校法人会計における補助金収入は非常に限られています。補助金の定義は以下の通りです。
Ⅱ 補助金
1.定義
補助金収入は、国又は地方公共団体からの助成金をいい、日本私立学校振興・共済事業団及びこれに準ずる団体からの助成金を含む。なお、日本私立学校振興・共済事業団及びこれに準ずる団体からの助成金とは、国又は地方公共団体からの資金を原資とする間接的助成金をいう。
国又は地方公共団体から直接受ける助成金と、国又は地方公共団体が財源を出している助成金、この二つが補助金となります。
補助金収入か否かは「財源」を確認することが非常に大事です。
雇用調整助成金の財源は?
では雇用調整助成金の財源は何でしょうか?答えは「雇用保険料」です。
雇用調整助成金の財源は事業主が拠出する雇用保険二事業とされています。
財源が国又は地方公共団体でない=補助金ではない!
財源が雇用保険料とわかりましたので、雇用調整助成金は補助金収入ではない、ということになります。
助成金といういかにも補助金のような名前のお金であっても必ずしも補助金収入にならないという点は注意が必要です。
雇用調整助成金は「雑収入」
ではどこに計上するのか?答えは「雑収入」です。
根拠は明確には出されていませんので、消去法での選択となります。
補助金収入ではない、寄付金でもない、授業料でもない…と選択肢を削っていくと「雑収入」しか残らないということになります。
同じ雇用保険を財源とする「特定求職者雇用開発助成金」も「雑収入」に計上するとされておりますので、そこと足並みを揃える処理が妥当でしょう。
注記又は科目の新設を忘れずに!
雇用調整助成金は結構大きな金額になります。そのため、その他の雑収入に入れると非常に目立ちます。
「その他の雑収入」に全額計上していいのか?という疑問が出てきます。
この点、東京都所轄法人においては、以下のような指示があることに注意が必要です。
その他の雑収入 ……………… 金額が多額になる場合は、特定事項を取り出して科目を設けるか又は注記する。
金額が多額になる場合は科目を新設するか注記してください、という指示があります。
科目を新設する場合は「雇用調整助成金収入」など内容が分かるように科目を新設します。
一方で、注記する場合は資金収支計算書及び事業活動収支計算書の脚注に「(注)その他の雑収入には雇用調整助成金○○○○円が含まれている」と注記することになるでしょうか。
ただ雑収入に計上すればいいだけではない場合もありますので、所轄庁の指示がないか必ず確認するようにしましょう。
まとめ
- 雇用調整助成金は雑収入
- 雑収入に計上する場合は科目を新設または注記する
新型コロナウィルスの感染拡大が続き、経理どころではないというのが本音だと思います。
しかし、学校法人は補助金をもらっている以上、期日までに計算書類は提出しなければなりません。
少しずつ確実に計算書類の作成を進めていくようにしましょう。