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【2025年最新】子ども・子育て支援新制度の基礎と令和7年度改正ポイント徹底解説 処遇改善一本化・こども園以降まで

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「子ども・子育て支援新制度」は、平成27年にスタートして以来、待機児童対策や保育の質の向上を目指して度重なる改正が行われてきました。 特に、令和7年度(2025年4月)からは、複雑だった「処遇改善等加算」が一本化されるなど、事業者や専門家にとっても大きな変化が予定されています。

この記事では、これから制度を利用する保護者の方にも分かりやすい**「制度の基礎知識」から、施設経営者や実務担当者が押さえておくべき「令和7年度の改正ポイント」「認定こども園への移行」**まで、幅広く詳細に解説します。


1. 【基礎編】子ども・子育て支援新制度とは?(保護者・初心者向け)

まずは、制度の全体像をおさらいしましょう。この制度は、消費税率引き上げによる増収分などを財源に、「保育の量の拡充」と「質の向上」の両面から子育てを社会全体で支える仕組みです。

3つの認定区分と利用できる施設

新制度では、お子さんの年齢や保育の必要性に応じて、市町村から**「支給認定」**を受ける必要があります。認定区分によって利用できる施設が異なります。

  • 1号認定(教育標準時間認定)
    • 対象: 満3歳以上で、教育を希望する場合(就労要件なし)。
    • 利用施設: 幼稚園、認定こども園。
  • 2号認定(保育認定)
    • 対象: 満3歳以上で、保護者の就労や病気などで「保育の必要性」がある場合。
    • 利用施設: 保育所、認定こども園。
  • 3号認定(保育認定)
    • 対象: 満3歳未満で、「保育の必要性」がある場合。
    • 利用施設: 保育所、認定こども園、地域型保育(小規模保育など)。

保育料と無償化について

  • 3歳~5歳児クラス: 全世帯で利用料が無償です(幼稚園、保育所、認定こども園など)。
  • 0歳~2歳児クラス: 住民税非課税世帯を対象に無償化されています。
  • 預かり保育・副食費: 原則として保護者負担ですが、一定の要件(保育の必要性認定や所得階層)を満たす場合、無償化や免除の対象となります。

2. 【専門家・事業者向け】令和7年度(2025年度)からの「処遇改善等加算」一本化

令和7年4月より、これまで複雑で事務負担が大きかった「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」が一本化されます。これは、「こども大綱」等の方針に基づき、制度の簡素化と事務負担軽減を図るための改正です。

新しい「処遇改善等加算」の3つの区分

従来のⅠ・Ⅱ・Ⅲは廃止され、以下の3つの区分に再編・統合されます。

区分1:基礎分(旧・加算Ⅰの基礎分相当)

職員の平均経験年数の上昇に応じた昇給に要する費用を確保するものです。

  • 要件: キャリアパス要件(職位・職務に応じた勤務条件・賃金体系の整備、研修機会の確保など)を満たすこと。
  • 経過措置: 令和7年度に限り、キャリアパス要件に適合しない場合は、後述する「区分2」の割合から一定割合を減じる措置が取られます。

区分2:賃金改善分(旧・加算Ⅰの賃金改善要件分・加算Ⅲ相当)

職員の賃金改善(ベースアップ等)に要する費用です。

  • 要件:
    • 加算見込額を下回らない賃金改善を行うこと。
    • 改善額の1/2以上を「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」により改善すること。
    • 他の施設・事業所の賃金改善に充当することも可能です(同一設置者の場合に限る)。

区分3:質の向上分(旧・加算Ⅱ相当)

技能・経験を積んだリーダー級職員の処遇改善を行うための区分です。

  • 対象: 副主任保育士等、職務分野別リーダー等。
  • 要件:
    • 研修修了要件: 職位に応じた専門研修(マネジメント研修など)の修了が必要です。
    • 賃金改善額: 副主任保育士等は月額4万円以内、職務分野別リーダー等は月額5千円(原則)以上の改善を行うこと。

事務手続きの簡素化

申請様式も統合され、これまで別々に提出していた計画書や実績報告書が一本化されます。指定都市等は指定都市等の長へ、一般市町村は都道府県知事へ(市町村を経由して)提出する流れとなります。


3. 保育士配置基準の見直しと定員管理(令和6年度~令和7年度)

76年ぶりの配置基準改善

令和6年度(2024年度)より、長年の課題であった保育士の配置基準が見直されました。令和7年度以降もこの新基準がベースとなります。

  • 4・5歳児: 「30人対1人」から**「25人対1人」**へ改善。
  • 3歳児: 「20人対1人」から**「15人対1人」**へ改善。

これにより、現場の負担軽減と保育の質の向上が期待されますが、保育士不足の地域では確保が課題となるため、当面の間は従前の基準(30:1、20:1)での運営も妨げないとする経過措置が設けられています。

定員超過減算の特例(令和7年度)

通常、定員を恒常的に超過して受け入れている施設は公定価格の減算対象となりますが、待機児童対策の観点から特例があります。 令和7年度に限り、令和4年~6年のいずれかの時点において待機児童がいた自治体に所在する施設については、減算を適用しない等の特例措置が継続される見込みです。


4. 認定こども園への移行を検討中の経営者様へ

少子化が進む中、幼稚園や保育所から「認定こども園」への移行を検討する園が増えています。

移行のメリット

  1. 園児確保: 親の就労状況に関わらず受け入れ可能なため、1号認定(教育)と2・3号認定(保育)の両方のニーズに対応でき、園児数が安定しやすい。
  2. 経営の安定: 施設型給付費による財政支援に加え、加算項目(チーム保育加配加算など)が充実しており、収入増加が見込めるケースが多い。

移行のハードルと特例措置

移行には、幼稚園機能と保育所機能の両方を満たす設備基準(調理室の設置、園庭面積など)や職員資格(保育教諭)が求められます。 ただし、既存施設からの移行を促進するため、以下の特例措置が設けられています。

  • 園舎・園庭面積: 既存の幼稚園・保育所の基準を満たしていれば、当面の間、認定こども園の基準を満たしているとみなす経過措置があります。
  • 職員資格: 幼稚園教諭免許または保育士資格のいずれかを有していれば「保育教諭」となれる経過措置(令和11年度末まで延長)があります。

移行のステップ

  1. 情報収集: 自園の地域の需給状況や市町村の事業計画を確認。
  2. 事前相談: 市町村の担当課へ移行の意向を伝え、認可定員や施設整備の必要性を相談(市町村が移行を認める方針かどうかが重要)。
  3. 計画策定・申請: 収支シミュレーション、改修計画の作成、都道府県への認可申請。

まとめ

子ども・子育て支援新制度は、令和7年度の「処遇改善等加算の一本化」により、事務負担の軽減と柔軟な賃金改善が期待されます。また、配置基準の改善など「質」の向上に向けた動きも本格化しています。

保護者の方は「利用できる施設の選択肢」、事業者の方は「加算制度の変更点」や「こども園移行の可能性」について、最新情報を踏まえて検討していくことが大切です。


※本記事は令和6年9月時点の情報を基に作成しています。詳細な運用ルールや申請様式については、所轄の都道府県・市町村の最新の通知をご確認ください。

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hiroya

公認会計士・税理士・行政書士。慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツへ入社。その後、2017年独立・開業。「公認会計士・税理士をより身近に」をコンセプトに情報発信を行い、SNSを通じて多くの相談に応じている。

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