不動産を所有していると課税される固定資産税。自分で申告して課税されるものは敏感に反応しますが、固定資産税のように賦課課税方式だと関心が低くなりがちです。
今回は令和3年度の固定資産税の取り扱いについて解説します。
こんな方におすすめ
- 令和3年度の固定資産税の取り扱いを知りたい
- 固定資産税の減免について具体的な内容を知りたい
そもそも固定資産税とは?
市町村が税額を決定する地方税の一つ!
所得税や法人税については自ら税額を計算して申告・納付を行います。これは「申告納税方式」といいます。税金の中でも非常になじみ深いものです。
一方で固定資産税の申告をした!という人はいないと思います。それもそのはずで、固定資産税は「賦課課税方式」という課税方法になっています。
これは市町村が固定資産の評価を行い、市町村が税額を決定する方法です。なので、知らぬ間に税額が計算され、税金を支払うよう納付書が送られてきます。
固定資産税の評価替えは3年に1回
通常であれば令和3年度は評価替えの年度
固定資産税の基礎となる固定資産の評価については総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づき3年に1回見直されます。
これは、本来は毎年評価を見直すべきところ、全部を毎年やっていると事務負担が非常に重くなってしまうため、3年に1回になっています。
そして、前回の評価替えは平成30年でしたので、通常ですと令和3年に評価替えが行われるはずでした。
令和3年度の評価額が上昇する評価替えは見送り!
結論から申し上げると、令和3年度に固定資産の評価は下落するもののみ行われます。上昇する評価替えは行われません。
○ 土地に係る固定資産税等の負担調整措置
・宅地等及び農地の負担調整措置について、令和3年度から令和5年度までの間、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。
・その上で、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について、前年度の税額に据え置く特別な措置を講ずる。引用元:令和3年度税制改正の大綱の概要
これには固定資産の評価基準日と新型コロナウィルスが影響しています。
令和3年度の土地の評価は2020年1月1日を基準日に行われる予定でした。これは新型コロナウィルス感染拡大前であり、その時点で日本の地価は上昇傾向にありました。
そのため、通常通り2020年1月1日を基準日として評価すると固定資産の評価額は前回と比べて高くなることが見込まれていました。
しかし、2020年1月末頃から新型コロナウィルスが日本全国で猛威を振るい、結果として日本各地で地価の下落傾向が見られるようになりました。
また、新型コロナウィルスがにより家計も大きなダメージを被り、通常通り評価を行っていいのか?という議論が政府内であったようです。
結果として、令和3年度は評価額が下がる評価は通常通り行われ、評価額が上がる評価は行われない、つまり前回評価額が据え置かれるということになりました。
【中小企業・小規模事業者限定】固定資産には減免措置もある
これは中小企業と小規模事業者のみが該当しますが、令和3年度の固定資産税については一定の要件を満たすと減免が認められています。
条件は以下の通りです。
2020年2月~10月までの任意の連続する3ヶ月間の事業収入の対前年同期比減少率が
50%以上減少→全額
30%以上50%未満減少→2分の1
また、この減免を受けるためには申請が必要となっており、申請手順は以下の通りです。
- 認定経営革新等支援機関等に「中小企業者であるか」「収入は一定程度落ち込んでいるか」「事業の用に供している資産であるか」について確認を依頼
- 認定経営革新等支援機関等より申告書を受領
- 2021年1月末までに市町村へ軽減申告
「認定経営革新等支援機関」とは中小企業庁が認定している、中小企業に専門性の高い支援業務を行えると判断された人のことで、税理士や公認会計士などが認定されています。
今回は「認定経営革新等支援機関」等であり、中小企業庁から経営革新等支援機関として認定を受けていない税理士や公認会計士でも申告書の発行が可能になっています。
税理士や公認会計士から申告書をもらって市町村に1月末までに申請することが条件になっていますので、法定調書などの提出と並行して進める必要があります。
まとめ
- 評価額が上昇する評価替えは令和3年度は行われない
- 中小企業・小規模事業者は固定資産税の減免が受けられる可能性がある
自分で計算しないため認識されていないことが多い固定資産税。しかし、よく見てみると軽減措置や政府による配慮などが行われていることがわかります。
自身の負担が減る措置はないか、今一度確認されてみてはいかがでしょうか。