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インボイス制度の経過措置が見直しへ!「2割特例」終了後はどうなる?

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令和8年度税制改正大綱では、インボイス制度導入に伴う激変緩和措置(経過措置)について、大きな見直しと延長が決定されました。「消費者が負担した消費税は原則として全て納税されるべき」という基本的な考え方に立ち返りつつも、実務負担に配慮した「ソフトランディング」を目指す内容となっています。

主なポイントは以下の3点です。

1. 個人事業主向け:「2割特例」終了後は「3割納付」へ(2年限定)

これまで、免税事業者からインボイス発行事業者になった方を対象に、売上税額の2割だけを納税すればよいとする「2割特例」がありましたが、これが終了した後の激変緩和措置が新たに設けられました。

  • 対象: 免税事業者からインボイス発行事業者になった**「個人事業者(フリーランス等)」**
  • 内容: 売上税額の3割を納税すればよい(売上税額の7割を控除できる)
  • 期間: 令和9年(2027年)及び令和10年(2028年)の2年間限定
  • 手続き: 確定申告書にその旨を付記するだけで適用可能

※法人についてはこの新たな経過措置(3割納付)の対象外となる見込みである点に注意が必要です。

2. 免税事業者からの仕入れ:控除率を見直して期間延長

インボイス発行事業者以外(免税事業者等)からの仕入れについても、一定割合を消費税額から控除できる経過措置がありますが、この期間と控除率が見直されました。当初の予定よりも期間が2年延長される一方で、控除率は段階的に引き下げられます。

【新しいスケジュール】

  • ~令和8年9月30日: 80%控除(現行通り)
  • 令和8年10月1日 ~ 令和10年9月30日: 70%控除(変更点)
  • 令和10年10月1日 ~ 令和12年9月30日: 50%控除(変更点)
  • 令和12年10月1日 ~ 令和13年9月30日: 30%控除(変更点)
  • 令和13年10月以降: 経過措置終了(0%)

【上限額の設定】 租税回避を防止するため、この経過措置を使える仕入れ額に上限が設けられます。

  • 制限内容: 1つの免税事業者等からの課税仕入れは、年間1億円まで
  • 開始時期: 令和8年10月1日以後に開始する課税期間から

これにより、小規模な取引先への配慮は続けつつ、大口取引での制度利用には制限がかかることになります。

3. 金属スクラップ業:インボイス保存不要の特例追加

新たに制定される「金属盗対策法」に関連し、特定金属くず買受業(金属スクラップ業者)に対する特例措置が講じられます。

  • 内容: 金属盗対策法の届出を行った事業者が、消費者(インボイスを発行できない者)から特定金属くずを仕入れる場合、帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます(インボイスの保存が不要)。
  • 背景: 古物商や質屋と同様に、一般消費者からの仕入れが多いため、実務に配慮した措置です。

まとめ 今回の改正は、インボイス制度の「完全移行」に向けたロードマップを修正しつつ、個人事業主や小規模な取引への配慮を延長した形です。特にフリーランスなどの個人事業主の方は、「2割特例」が終わった後もいきなり本則課税や簡易課税(業種による)になるのではなく、「3割納付」というクッション期間が設けられたことを押さえておきましょう。

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hiroya

公認会計士・税理士・行政書士。慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、有限責任監査法人トーマツへ入社。その後、2017年独立・開業。「公認会計士・税理士をより身近に」をコンセプトに情報発信を行い、SNSを通じて多くの相談に応じている。

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